神功皇后Project

■ パート6 新規のお囃子と舞を考える 2

 お囃子の楽曲製作については、コンセプト作りだけでおよそ半年を費やしました。そのコンセプトは大きく二つに分かれます。それは、2枚のお面のプランと平行して、「静」と「動」の2つが検討されたということです。囃子連としては、まずはじめに、奉納囃子という舞台での演奏を基本とした静のテーマから着手しました。

 静のコンセプト作りは、まず、神話の中の人物である神功皇后について、墨江町囃子連の行うお祭りの中に取り入れてもよいと思われる要素のピックアップから始めました。すなわち、神功皇后の「神の声を聞くことのできる神秘性と神々しさ」「身の回りの自然やそれを司る神を敬い、感謝するという心がけ」といったあたりが発想の基本となっています。ちなみに「広いエリアを平定し、多くの人々の安定と平和を求めたという崇高な志」「勇気のある行動を敢行した力強さとたくましさ」といったところは、後日取りかかる予定の動のコンセプトのベースとなっていくことでしょう。

 静のコンセプトから生み出された具体的なテーマは、「喜びと感謝」、それに「未来への希望」です。囃子連としては、「過去一年間の息災を喜び、感謝し、また、これからの一年間に対して希望を持っていきたい」ということを趣旨とし、その気持ちをお囃子の楽曲や舞の中に込めていきたいと考えました。そしてそれを、身の回りにある自然とそれを司る神(住吉の神)に対して奉じるという形にしていこうというわけです。

 また、楽曲の仕様については、さまざまな制約も設けてみました。「青梅のお祭りで行われているお囃子の形態を崩さない/墨江町のお囃子の流れを汲んだものにする/奉納囃子での演奏を基本としながらも、お祭り当日にも使えるようなものにする/シンプルなリズムとわかりやすく親しみを感じるメロディーにする」といったことです。さらには、実際にお囃子を演ずるのは、江戸時代などにお囃子を演じていた人たちとはリズム感やハーモニー感が違う現代人の私たちですので、私たちがふだんから慣れ親しんでいる西洋音楽の手法なども取り入れてみようと考えました。

 そうしたコンセプトプランニングを経て、静の楽曲の第一曲目、神功皇后の舞のメインテーマともいうべき「風の章」が完成しました。将来的には、この「風の章」に続き、「水の章」「火の章」「願いの章」という四つの楽曲が組み合わされて一つの組曲の形になるものが考えられています。組曲の名は「喜望の曲」。今後、この構想の完成までに、どれほどの期間がかかり、また、実際にどこまで発展させることができるかは全くわかりませんが、前向きに検討していきたいと考えています。

 なお、今回のプロジェクトでは、基本的には楽譜などもなく、先人から後進への直接口伝のスタイルをとる従来の囃子連の楽曲伝授方法とは異なり、コンピュータと電子楽器を使ったデモテープ作りがされました。そして、プロジェクトメンバーは、そのデモテープを聞き、笛、太鼓、鉦の基本旋律や拍子などを覚えたあとで、実際に太鼓などをたたいてアンサンブルを作り上げていくという手順でお囃子を完成させていったのでした。

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