神功皇后Project

■ パート4 面づくりに関する構想

 プロジェクトの各部門がさまざまな形での研究作業を行っていく中で、最も早い時期から具体的に動き出したのは、面の製作でした。

 囃子連では、前述の通り、町内からの基本的な賛同のもと、4月の時点ですでに神功皇后の面を作るということを決めていて、それを受けて、5月のお祭りに小川氏を招き、神功皇后の人形をみてもらうとともに、そのお顔の型を取ってもらっていました。この型をもとに、小川氏に面づくりの基本構想を考えていただいていたというわけです。

 さらに八月の研究会では、小川氏に再度、神功皇后のお顔の型を取り直してもらいました。なお、この研究会以前に、神功皇后の面は「静」と「動」の二種類のものを製作するということが検討されていました。静の方は、基本的に山車人形のお顔に限りなく近い造形を施した「模写面」、もう一つの動の方は、人形のお顔をベースとしながらも、オリジナルな発想をも盛り込んだ「創作面」です。

 その後、囃子連内、あるいは、小川氏との協議などを経て、それぞれの面の方向性を練り上げていったのですが、まず、模写面の方は、山車人形のお顔からも感じられる神功皇后の高貴さ、厳粛さ、そして、どことなく漂う怪しげな雰囲気は残しつつも、その中に優しい表情も取り入れていくというものです。こちらは「慈愛の面」と名付け、囃子連が神聖な儀式と位置づける「奉納囃子」での使用だけを前提として考えました。

 対して、もう一枚の「創作面」は、神功皇后の逸話に基づき、戦に赴くという勇壮さと力強さ、神がかった一面をもつという神秘性、さらには、能の世界などではよくテーマとなっていることですが、ある種の狂気をはらんでいる幽玄さをも併せ持った「鬼神」に近いものを考えました。こちらの面は「怒濤の面」、通称「怒りの神功皇后」と呼んでいるものです。

 こうした構想を基本ラインとして、神功皇后の面は製作されていったわけですが、小川氏には、プロジェクトが考えるテーマ性はもちろんのこと、奉納囃子という現場で舞を鑑賞する人たちの視線の置き所などまでが計算された絶妙の作品を彫っていただいたのです。

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